1時間目の授業が始まった。

これは私がわりと好きな日本史の授業。

でも今日は、朝のことがあったから少し長く感じる。

前の方に座っている海咲ちゃんは、私の席からよく見える。

先生の方を見てしっかりノートをとっている。

それでも今、頭の中には祐樹がいるのかな。

……やっぱり変。

何で祐樹のこと気にしてんの。

急に隣から視線を感じ、少し顔を動かす。

すると祐樹と目が合った。

が、すぐに教科書に目をやる。

ダメだな、私。

何でこんな風にしてしまうんだろう。

ただ目がっただけじゃん。

もう一度祐樹を見てみる。

でももう、教科書に目を戻していてこっちを見ようとはしない。

横顔から少しふてくされた感じもする。

キーンコーンカーンコーンとお決まりのチャイムがなる。

なんだかんだ言って、結局ボーっとしてただけ。

今更ながら早く感じた。

「ちーちゃん!日本史の授業、なんか楽しかったね」

いや、全然聞いてないからまったくわかりません。

そう言いたいけど、我慢する。

「そうだね」

「やっぱあの先生好きだなー」

日本史の先生は女の先生。

結構面白い授業だと人気が高い。

見た目も可愛いから人気。

「……ちーちゃん?なんか元気ないけど」

「ん、大丈夫。いつも通りだよ」

あんたのことを考えてるから元気ないんです。

利用されてるって考えてたら、海咲ちゃんの話すことが全て嘘に聞こえてしまう。

嫌々ながら海咲ちゃんの話を聞いているとき、携帯がなった。

送り主は……「祐樹」

この前、何かあった時のためにって教えてもらったんだった。

『昼休み、屋上集合』

ただそれだけ打ってあった。

何さ、これだけなんて。

何故かこれだけの内容に不満を覚えてしまった。