祐樹の席は席替えをしたにも関わらず、私の隣の席。

ホームルームが終わり、5分間の休憩。

海咲ちゃんは毎回のように私の席に来る。

今日、やっとその謎が解けた。

海咲ちゃんが目当てなのは私じゃない。

「祐樹」なんだ。

私と話してても、たまに上の空って感じで窓の外の方を見てる。

でも、見てたのも外じゃなくて「祐樹」なんだ。

祐樹は窓側の方に座ってるから。

そうか。

海咲ちゃんは「祐樹」しか見えてないんだ。

この前一緒にご飯食べていいってOKしたのも「祐樹」のためなんだ。

さっきだって、背中を押されながらって言ったけど。

その押す力は結構あった。

嫉妬してたんだね。

「祐樹君はちーちゃんが好きなんじゃないか」って思っても、諦めきれないんだね。

何で。

友達だって言ったよね?

じゃあ、私は。

「利用」されてただけ?

諦めきれないのは仕方ないと思う。

止めようとも思わない。

でも、利用するのはやめてほしい。

海咲ちゃんが思ってなくても、私は利用されてるとしか思わない。

「じゃあ、授業始るから」

そう言って戻った海咲ちゃん。

海咲ちゃんが話している間、やっぱり眼中にいたのは。

「祐樹」なんだね。

なんかわからないけど、胸の痛みが治まらないや。