じっとしとるのが嫌いな俺は

ひたすら狭いベッドの上を

ごろごろと転がるだけ。

それにも耐えられなくなった俺は

居てもたってもおれんくなって

ベッドから抜け出した。

タンスから手頃な上着を

取り出して羽織り

クローゼットに隠してある

シューズを片手に

音をたてんように窓を開く。

窓際でシューズを履いて屋根に降り

そのまま駆け下りて

家を囲う塀に降り立つ。

小さい頃からよく使っとる

逃亡の手段。

俺が宿題をせずに遊びに行かんかと

ドアの前で見張るおかんの目から

逃れるために発案した逃げ方や。

これは忘れずに覚えとったらしい。