ああ成る程、なんて同調してる弟に泣きたくなってきた。


この国に奴隷制度はないものの、僕は彼女にとって奴隷と一緒なのか。


やはり昔と何一つ変わっていない。


昔から僕はリザの思うがままの奴隷なのだ。


「でも、兄さんと結婚なんて、リゼ姉の両親は許すの?」


それに対して、彼女はなんて事ないように答えた。


「うん、だって親に家を追い出されたんだから。」


「は…?」


そこで久々に声を出した僕に、ああいたの、と言わんばかりの視線を向けると、彼女は口を開いた。


「私、第一王子の妃候補として、城に何度か召されてたんだけどね。


この前、王子に面と向かって、貴方の妃にはなりません、って言っちゃったの。


それで、帰って来た私を見て、両親はカンカンに怒っちゃって。


お前みたいな恥知らずの娘は知らん、頭を冷やせって、遠くにある別宅に幽閉されそうになったわけ。


だから、逃げてきた。」


「「……。」」


何とも言えない沈黙が降りる。


「兄さん、頑張れ。」


つまり彼女は親に内緒で抜けてきたわけだ。


って事はまた面倒な事になるのは、目に見えている。


「ここに逃げて来たのはいいけど。

でも、だからって結婚するなんて言い出さなくてもいいだろ。


そんな事言わなくたって、匿ってくれるだろ、母さんが。」


「一生?

一生匿ってくれる?」


何だか心細げに言われたその言葉は、僕の胸に刺さる。


「それは…」


「私、好きでもない人と無理矢理結婚させられるような、あの家にはもう帰りたくないの。」


そうは言っても、それは叶わない気がするのは僕だけだろうか。


いつかは連れ戻される。


妃候補なら特に。