「あー、街の警備とかやってたり、お祭りの時のパレードで行進してる人だよね。
確かにかっこいい。
お姉ちゃん、僕が兵士になったらお嫁さんになってくれる?」
ここぞとばかりにセレスが尋ねる。
小さい時、リザと結婚したい、と言っていたのはどうやら本気だったらしい。
「それは、セレスがなってみないと分からないな。」
何とも罪な気の持たせ方である。
だいたい、僕と結婚するとか言っておきながら、セレスにも気を持たせるとか、どういうつもりなのか。
そこまで考えて、なんか、自分が恥ずかしい思考に陥っている事に気が付く。
まだ11歳の弟に嫉妬するとか、どんだけ器が小さいんだよ。
あ、今、嫉妬って思った…
え、これって嫉妬なの!?
「兄さん、フォーク止まってるよ。」
「あ…」
冷静な2つ下の弟にそう指摘を受けて、はっと我に返る。
弟の方を見れば、何やら面白そうにこちらを見ていた。
無視を決め込んで、再び食べ出したが、今度は隣から視線が向けられていること
に気が付く。
「なに。」
ぶっきらぼうにそう吐き出せば、
「別に?」
とリザまで面白そうに笑う。
「ただ、こうやってご飯食べるの、楽しいなって思っただけ。」
そう言う彼女はいつものように笑ってたけど、こういう言葉はこの時初めて聞いた気がした。

