これは服飾に関して勉強し出した当初からだった。
僕の頭の中では、必ず金髪の女性が着てるイメージしか浮かばないから、やっぱり書き写しても金髪で書くしかない。
モデルが居て、その人に合わせた服を作るって時には、きちんとその人の髪や容姿に合わせるのだが、
一般的な服のデサインを考える時は、どうしても金髪になってしまうのが悩みでもあった。
「まったく、そんだから、何時まで経っても、デサインに偏りが出るのよ。」
服飾の僕の師匠でもある母さんの言葉は的確すぎて痛い。
大衆受けするデザインが求められる中、僕の能力は、オーダーメイドの品でしか、生かされない。
オーダーメイドのものはもう幾つか任されているが、既製品の方はこのワンピースだけだ。
もう何十枚とデッサンしてるのに。
しかも、このワンピースでさえも、着る人を選ぶらしく、売れ行きもあまり良くない。
「でも、不思議ね。
リゼちゃんには、驚くくらい似合ってるの。」
「そうなんですか?」
「リゼちゃんが上手く着こなせるのか、それとも、フェリの服がリゼちゃんに合うのか、どっちなのかしらね。」
そう言った母さんはまるで全てを知っているかのようだった。
「今度、リゼちゃんのために、服作ってあげなさい。」
そう言うと、母さんは、夕飯出来てるから、来てね、と言って出て行った。

