魔法のドレス



「まあ、かわいい。」


顔の熱が少しは引いた頃、母さんが戻って来て、そう口にした。


「ありがとうございます。」


「髪はフェリが?」


「うん。」


「へー、良く出来てるわね。」


そう言って、自分より背の高いリザの頭を撫でる母さんは、実の娘に接するようで。


それにリザもくすぐったそうに応えていた。


「しかし、これじゃあ、完璧フェリ仕様ね。」


その言葉にぎくっとした。


確かに、あまりに自分の理想通りのその姿に、僕も若干感じていた所だったのだ。


「フェリ仕様ってどういう意味ですか?」


「フェリの理想通りって事よ。


だって、そのワンピース、フェリがデサインしたのよ。」


母さん、見事に爆弾投下しないでいただきたい。


「そうなんですか?」


「そうよ。

しかも、フェリはリゼちゃんのような金髪の子が好きなんだから、ね。」


「母さん!

なんで、僕、金髪好きになってるんだよ。」


饒舌な母さんを止めようとしたが、これが逆効果だった。


「あら、違うの?

だって、貴方の服のデサイン画の女性の絵、みんな金髪じゃない。」


「……。」


そこまで見られてたのか。


「好きじゃないのなら、今度から、茶色の髪の女性にしなさいよ。

ターゲットは茶髪の方が多いのよ。」



「無理だよ…


だって、金髪じゃないと、イメージが湧かないんだ。」


とうとう、白状してしまった。