「今日はこれ着るね。」
「あ、うん。」
その後、ネイビーの室内用のローヒールの靴を服に合わせる。
しゃがみ込んで、履かせようとしたが、
「自分でやる。」
と履いてしまった。
どうやら、もうお嬢様扱いはいいらしい。
「髪、結ってあげるよ。」
嬉しそうに裾をひらひらさせているリザはその言葉に酷く嬉しそうに反応した。
「昔も、フェリがよく結ってくれたっけ。」
そう、お転婆娘だったリザは、その長い髪をいつも邪魔そうにしてた。
夏場になんか、ハサミで切ろうとするもんだから、必死で止めたのだ。
それからだ。
僕がリザの髪を結ってあげるようになったのは。
小さい時は母さんに教わって、元から手先が器用だから、直ぐに出来るようになった。
王都だと、色んな髪型が流行ったりしていたから、今ではすっかりバリエーションが増えた。
リザを椅子に座らせて、急いで櫛とか紐とかを持ってくると、さっそく始める。
実は、この服を作った時に、こんな髪型で着て欲しいという思いがあったから。
緩い編み込みと三つ編みによってざっくりとまとめられた髪は全てアップにした。
簡単な緩いヘアだけど、今のリザは、王都に行っても引けを取らないくらい、華やかで。
それは顔立ちもあるけど、たぶん彼女の雰囲気もそうさせるのだろうと思う。

