「これは?」
僕が差し出したのは、黄色っぽい白の糸で刺繍の入った、濃い青のワンピース。
袖がおしゃれな作りになっていた。
「これいいね。
案外、フェリの趣味と合うかも。」
そう言って貰えると、なんか認められたようだ。
今までリザに認められた事なんて、殆どなかったのに。
その後、適当に数着選んで、更衣室で試着させた。
「フェリ、後ろ結んで。」
カーテンが開けられたかと思うと、大胆にも背中の紐が全開になったリザがいた。
「全部外さなくても着れるのに。」
そう言いつつも、紐を丁寧に通して行く。
「知らなかった。
よく考えたら自分で着た事ないから。」
流石、妃候補になるだけはあるお嬢様だ。
「みんな一人で着れるものなの?」
「まあ、服によっては。
後ろに留めるものがある時は流石に手伝うけど。」
「そっか。」
じゃあ一人で着れるようにならなくちゃ、そう言うリザは、やっぱりもう家には帰らないつもりのようだ。
本当に僕なんかの嫁になるつもりなのだろうか。
「はい、結べた。」
「ありがと。」
そう言うと、その場で彼女はくるんと回ってみせた。
「どう?」
スタイルのいい彼女は何を着てもお似合いな気がする。
「似合ってるよ。」