会話をさえぎるように入ったアナウンスに、あたしと真澄は顔を見合わせた。
まあ良い。いうまでもなく真澄は気づいているだろうし。
大人しく2人で講堂に向かう。
真颯学園はちょっとしたマンモス校である。
ひと学年だけで40人クラス×10組。
単純計算で高校3学年で1200人居ることになる。
真澄いわく、だから同じ学年でも一度も顔を合わせる事無く卒業してしまう人間も多々居るらしい。
ちなみにそのうち高等部からの入学組は160名。
およそ4クラス分。
…でも、そう考えたら160分の1って対したことないじゃん主席入学。
あたしはそんな事を考えながら答辞の原稿を持って指定された座席に座った。
『新1年生の皆さん、ご入学おめでとうございます』
そうやって何度も同じ様な祝辞の挨拶を受けながら、あたしは答辞の原稿を眺める。
主席入学のおまけとして、なんか入学式での答辞の役目が付いてきた。
丁度いい。こうでもしないと学年全員見る機会なんてそうそう拝めないだろうから。
「ご来賓の皆様、先生方、先輩の皆さん、沢山のお祝いのお言葉有難うございます」
登壇して、原稿を読み始める。
400人の生徒プラスその保護者、先生達に来賓席。わお、なかなかの圧巻。
「今日、私達はこの真颯学園高等部に入学し、新たなる生活をスタートします」
このときまだ、あたしは気づいていなかった。
あたしを見る、彼らの視線がちょっと違っていたことに。
