「で、ここオンリーで受験した、と」
「うん、滑り止めなんて要る訳ないじゃん」
「相変わらず強気やなぁ」
「だって、得等生狙わないと学費タダになんないでしょ。取れないんだったら大人しく公立行ったけど、ココなら狙える自信あったし」
「…そこそこの偏差値で悪かったな、ウチ」
「いいえ、おかげさまで主席入学ゲットしちゃったし」
何かにつけて大人たちは学力で評価したがる。
でもさすがに『歴代順位に残るくらいの成績での主席入学』は効果があったらしい。
合格通知を受けた日から、見事なまでに周囲の大人たちは黙り込んだ。
見たか。これがあたしの意地と根性だ。
「真颯、そんなに魅力高いかぁ?」
「メッチャ高い」
「ウチ、初等部から居るけど考えたこと無いわぁ」
真澄とは、あたしが幼稚園の時に出会った。
大阪から引っ越して来たと言う真澄の関西弁は凄く新鮮で。
あたしと真澄は直ぐに仲良くなった。
お父さんが転勤族の影響もあってか、実家のお祖母さんのお宅に預けられ、進学に影響が無いように初等部からエスカレーター式の真颯学園に居る。
「やっぱ、麻架の目的って…」
「もちろん、それは」
『新入生の皆さん、講堂へ集合してください』
