僕は、仕返しとばかりに、クロが乗っているのもお構い無しに、 体を起こして、制服に付いた草を払った。 突然落とされたクロはといえば、 軽く着地を決め、気持よさそうにノビをしていた。 「…ムカつく。」 本気で何かしら仕返しを決めてやりたいものだ。 そう、策を講じていた時、 ヴヴヴッと、ケイタイの呼び出し音が聞こえ、 「ゲッ。」 と、あからさまに嫌な顔で、電話をとった。 「…兄さん?」 弟の康介からだった。