「…ぶわっぷ!」 鼻先を、何かがかすめた感覚が、あまりに擽ったくて、 重い瞼を持ち上げると、クロが僕の胸の上で、長い尻尾を自慢げに動かしていた。 「本当におまえはあつかましいよね。僕はおまえの座布団じゃないんだよ?」 寝ている人間の上で、悠然としている姿が、なんとも腹立たしい。 長い尻尾も嫌いだ。あれがいい。ウサギくらい短い尻尾の方がいい。