「はぁー……。
林君、早く帰って来ないかなぁ。
暇だよー」


お母さんが夕飯の買い物に出てしまったから暇で仕方ない。

一緒に付いて行くか悩んだけど、もしその間に林君が帰って来たら悔しいもん。


ちょっとでも一緒に居たいからさ。


大きな声で愚痴を言う私の横で明らかに、迷惑そうな顔をするチビ林下。

林君の1番下の弟で、確か名前は歩夢。


「愛未、うっせーよ。
寅さんの散歩でも行って来れば?」


そう横目で私を軽く睨むチビ林下は、中学になってから本当に生意気で仕方ない。


「おっ、愛未が寅さんの散歩行ってくれるのー?
俺、今日当番だから帰って来たんだけど、愛未が行ってくれんなら彼女ん家行ってこよっと」

「うわ、愛未セコイぞ!
俺の当番の日も代わってくれよなぁ」


なんて、どこから沸いて来たか双子がギャーギャーと煩く叫ぶ。


「はあ? 何で私が行かなきゃ駄目なのよ!」

「いーじゃん、頼むよ!」

「いーや! 当番のあんたが行きなさい」


目の前で手を合わせて頼むのを顔を背けて断った。


当たり前じゃない。

どうして私が行かなきゃ駄目なのよね!