「母さんがさ、愛未が来ないから呼びに行けっつうんだもん」
「お前が来ないせいで、俺等までとばっちりくんだぜ」
そう双子が、私の部屋を見回しブツブツと言い出す。
『デートがあったのに』だとか。
『俺は寝たかったのに』だとか。
だから文句があるなら帰れっ!
そう心の声を出そうとしたら
「それに歩にも話聞いたし」
そう言いながら双子が、チビ林下を見つめた。
あぁ、これってこいつ等なりに心配してくれてるってこと?
「そか。でも今日は行かない。……お母さんにも謝っといて?」
「……ふーん。そんな気にしてんだ?」
チビ林下が私を見つめて呟いた。
何よ。
どうせ、また馬鹿にするんでしょう。
でも仕方ないじゃない。
林君があんな風に話を逸らしちゃうんだから。
何かあるんだって思われても仕方なくない?
「でも兄ちゃん、かなーり凹んでたぞ」
「そうそう。昨日、愛未が帰った後なんて母さんに責められまくりだったし」
やっぱり怒られたんだ。
その時の林君を想像して、思わず笑ってしまう。
「兄ちゃんも反省してんだろうし。
もう許してやれば?」
許してあげる、あげない。とかじゃないんだってば。
それ以前の問題で。
何か隠してる、そう私が疑ってるだけけ。
「はぁー……、愛未って頑固だなぁ。
そんなことしてたら、その何ちゃらさんに兄ちゃん取られちまうかもよ?」
その言葉に私は完全に固まってしまった。

