お風呂からあがった林君は、いつも通り寅さんとじゃれ合っていた。
「ねぇ、林君?」
「んー? どうしたの、愛未ちゃん」
「持田さんだっけ? 彼女に私のこと何て言ったの?」
「え!?」
寅さんと遊ぶ手が止まり、焦った顔を見せる林君は嘘が吐けないタイプ。
「すごーく気になるんだよね」
持田さんは林君のこと好きぽいし。
それで、私の事を普通に聞いていれるわけないと思うんだ。
「えーっと……。
あっ、そろそろご飯じゃないかな?」
「え? ちょっと、林君!?」
私の質問から、あからさまに逃げた林君は部屋から出て行ってしまった。
ちょ、何?
本当に何かあるわけ?
こんな風に誤魔化す林君なんて見たことないよ。
その日は、わざと晩ご飯を食べずに帰った。
多分、林君はお母さんに怒られてると思うけど。
お母さん、私が来ている日にご飯を食べなかったり、林君が送って行かなかったりすると物凄く怒るらしいんだ。
だけど、今日は知らない!
私に隠し事をする、林君が悪いんだもん。

