ゆっくりと階段を上がる。 一応、お菓子も持って。 ドアに手をかけて、 一息に開けた。 ――怜奈は、いなかった。 「ま、まさか」 目線の奥には… 猫が丸まって寝ていて… 「…冗談だよね?」 手に持っていたお菓子を 落としかけて、 あわてて机の上に置く。 猫に近づくと、 眠そうに目を開けて、 辺りを見渡したあと 僕の爪先から顔まで ゆっくりと見上げて、 目が合った。