家に着いたよってメールしたらすぐにディスプレイに君の名前が映って

電話なんて珍しいなって思いながら出てみたら君のお母さんだった。

そのあとは本当に何も覚えてない

気が付けば君のお葬式だった。

君が好きだった曲が流れていて

君の両親は泣いていて

友達が泣いていて

会ったこともない人たちが泣いていた

俺だけが泣いていなかった。

君をはねた車の運転手は涙を流して土下座しながらひたすら君に、両親に、俺に謝っていた。


それでも俺はその人を怨むことも

君に涙を流すこともできなかった。

大好きな君が死んだのに、涙も流せない自分に嫌気がさしてた。

君の両親は、俺を火葬場まで連れて行ってくれた。

本当は行きたくなかったけど、「君にこの子の骨を拾ってもらいたいんだ」って言われたら断れなかった。

火葬場についたら何もない場所で

無性に悲しくなった。

こんな場所で君は焼かれるのかと思うと悲しくなった。

その時も涙は出なかったよ。

でも骨になった君を目にしてやっと涙が出たんだ。




涙が出て


足に力が入らなくて


君の名前を叫んで


でも言葉にならない嗚咽ばかりが出て


まともに君を見られなかった。




一瞬だけ気持ち悪いって思ったんだ。