そのどれもが私の目について、私は歩みを止めていちいちそれを目に焼き付けていました。

葬式場へは随分と時間がかかりました。

入り口近くには隆の名前が書かれていて、たくさんの生徒が入り口をくぐっていました。

私はしばらく隆の名前を見つめていました。

そして、ゆっくりと本当にゆっくりと入り口をくぐりました。

中に入ると、申し訳程度に私と隆が好きだった曲が、

音楽の趣味が合わなかった私たちの唯一合った曲が流れていました。

その曲を聴いた瞬間、私はその場に座り込んでしまいました。

入り口だったため、人の邪魔になっているのも構わず、私は泣き崩れました。

それを見つけた隆の友人が私を隆の前まで連れて行ってくれました。

ここまで来ておきながら正直帰りたかったです。

棺に納まっている隆なんて見たくありませんでした。

見てしまったらもう、認めざるおえないと思ったからです。

隆が死んでしまったと

分かってはいるけれど、認めたくありませんでした。

私の中の隆はいつも笑顔で優しい元気な隆でずっとずっと居てほしかったから。

耳を塞ぎたかったです。

目が一生開かなければ良いとさえ思いました。