言葉にされるよりもはっきりと認識させたんだ。



君の死を。



それに気づかないフリをして

菜美も僕が感づいていることに気づかないフリをして

最後まで二人でいることを選んだ。

そのことに後悔はしてないよ。

菜美と出会ったことも

好きになったことも

結婚式をあげたことも

何一つ後悔なんかしてない。

ただ一つ後悔があるのならあの病室の結婚式に両親を呼びたかった。

できることなら祝福してほしかった。

菜美と本当の結婚式をあげたかった。

でもきっとあの結婚式以上に素敵な結婚式なんてどこを探しても見つからないと思う。

親に何と言われようと傍にいることを諦めなかった僕たちに

友達がひそかに準備をしてくれた結婚式。

驚いたよ。

いつものようにお見舞いに行けば

白いドレスを着て

はにかんだように綺麗に笑う菜美がいて

しばらく君から目が離せなかった。