あの出来事は



さかのぼること約一年前


桜が満開の季節

みんなが新生活に胸踊らせ
好奇心と不安が入り混じった
あの春からもうすでに始まっていた


今思えば

あれは未然に防げた出来事だった

なのに‥なのに‥





─‥‥‥



4月


新しい制服に身をつつみ


緊張と不安で迎えた高校の入学式の日



朝歩いて登校していると
急に後ろから‥


─ドンッ


「おはよ!莉里奈!」

「ぁあー‥おはよ、ありさ‥」

「ちょっとー‥
 朝からテンション低いよ?!
 そんな入学式だからって
 緊張しなくても
 うちがいるんだからー
 安心しなって!ねっ??」


この子は私の親友[ありさ]
中学の頃からの仲である


おっと‥私の名前ね‥
[間宮 莉里奈]っていうごく
一般的な高校一年生笑



そんなごくごく普通で
当たり前だったことがある日を
境に壊れていくなんて‥


そのことを私はまだ知らない‥。