「 へーえ。 王子様……ね。」 妖艶な笑みを浮かべて、春坂はまた一歩、あたしに近づいた。 「俺が王子なら、あんたはお姫様ってトコかな。」 そして、さっき落とした童話を拾いながら言った。 「でもさぁ、童話の中じゃ優しい王子様だって、お姫様にアレコレしてんじゃねぇの…?」 春坂が、あたしの耳もとで囁く。 ////っ!!! 恥ずかしくて、また一歩後ずさりしようとしたが、 後ろは行き止まり。 頑丈な本棚だった。