幸せの宇宙


少し早歩きで学校に向かう。
今日は高校の入学式の次の日のため、遅れる訳にはいかない。

「今何時?」

制服のポケットからケータイを取り出し、時間を確認する。

「8時23分……あれ?全然間に合う。よかったぁー!」

早歩きを止め、普通に歩き出す。

「朝ご飯食べれたのに……はぁ」

落ち込んでいると、段々と学生の声が聞こえてきた。

「もう着いたよ……」

門を通り過ぎて玄関のところまで歩く。
突然、パリンッという窓が割れる音がした。

「わっ、何!?」

女子達の叫び声が少し聞こえ、先生達が駆け付けた。

「何事ですか!?」

一番最初に走って来た先生が、1番近くにいた女子生徒に事情を聴いた。

「わ、わかりませんっ。急に窓が割れて……」

話している女子生徒は隣の子と抱き合うに近い状態で、何があったのかを話していた。

「とりあえず話を聞きます」

女子生徒に事情を聴いている時、またも悲鳴が上がった。

「今度は何ですか?!」

少し離れたところで今度は男子生徒が頭を押さえていた。

「何があったのか説明してください!」

関係ない生徒達も好奇心から集まりだし、天羽は人に酔っていた。

「すんごい人……っ、駄目だ、酔う!」

何とか人ごみを抜けだし、校舎にたどり着くことが出来た。
そして、天羽は全ての状況を察知した。

「あなたの所為でしょ?……明日香さん」

いつの間にか天羽の後ろに立っていた女子生徒に話しかける。

「えぇ、だって腹が立つんですもの。あの子たち」

明日香と呼ばれた女子生徒は髪をクルクルといじりながら天羽の近くをクルクルと回る。

「いい気味だと思わない?」

「……あの子たち何をしたんですか?」

急に黙り込み、怒りを含んだ目でさっきの女子生徒と男子生徒を見つめる。

「荒らしたの。私の……私の大切な場所を!!」