「さーくーらー!起きろーー!!」

あれからずっと眠っている山白を起こそうと奮闘しているが、一向に目覚める気配がない。

「よし、アレしかないか」

天羽はノートを丸めて山白の耳元にあてる。

大きく息を吸い込む。

「起きろーーー!!!」

これでもかというくらい声を出すと、周りの視線が天羽に刺さる。

当人が呑気に欠伸をしながら起きたことを確認すると、お弁当を机に置く。

「あっれ、もうそんな時間?」

「もうそんな時間。早く食べよ」

山白はお弁当を取り出し、天羽より早く食べ始める。

「そういえば、数学の先生が課題だすって言ってたよ。桜にだけ」

「……何で!?」

「寝てるから」

「ですよねー」

天羽は時計を見て、お弁当を片付ける。

「もう食べないの?」

半分以上残っているお弁当を見て驚く。

「ちょっと用事あってね?じゃあ!!」

勢いよく廊下に出て、体育館へ向かう。

「絶対怒ってる……あぁ……気が重い」

歩く速度が徐々に速くなる。

「沙綾も時間に厳しいよねぇー……」

体育館の扉の前で深呼吸をして息をつく。

「明日香さーん!」

体育館の中心に向かって大声で叫ぶ。