「うちの課長が、お前のこと褒めてたんだよ。謝る姿勢って人柄が如実に出るし、低姿勢だけでも、他人の顔色を窺うようなものでもだめだしな。女としてもったいないくらいの潔い謝り方だったと聞いたよ」
「それは、褒められているんでしょうか?」
なんとなく腑に落ちない。
パズルのピースがしっくりはまらないというか。
「お前に同行していた上司さ、行きは足取りが重そうだったけど、終わって出てきたとき晴れやかな顔してたよな」
「見られてたんだね」
「見ないようには、してるんだけどな。どうしても」
どうしても?
「お前が俺らの部署の前を通り過ぎるの、楽しみにしてるヤツがいるんだよ。ナツナのこと、女教師みたい、エロイとか言ってな。それがうるせーんだよ」
それがまるでお前のせいだと言わんばかりに、彼の顔が横柄に歪んでいる。

