幸斗Side



『浩之さんは、私に一度も“好き”って言ってくれた事がないの………。皆には、たくさん迷惑かけちゃったね……ごめんね。若菜ちゃんもせっかく来てくれたのに…………』


おふくろと親父の喧嘩は初めてみたカモ………。



すると若菜は泣きながら言った。



『おばさん………言いましょう。全て……。言ってほしいなら、皆の前じゃなくても、二人の時でもいいじゃないですか。………お互い好きなのに、思いが通じないのは悲しすぎる……。』

『若菜ちゃん………浩之さんはすごく好き……だけど時々、浩之さんが何を考えているのか………分からないの………』



『私も時々、幸が私の事本当に好きなのか分からない時があります。好きって言ってほしいとか思います……でも、時々見せてくれる優しさが嬉しかったりして…………ちょっとした優しさに気付く事が大切だと思います。いつもの幸せに溺れていませんか?きっと、ちょっと厳しくするのが浩之さんの優しさの形…………それでも嫌なら、いっぱいいっぱい話し合って下さい……。』




若菜…………。



『若菜ちゃんありがとう………。私、行って来る!!』




おふくろは、部屋を慌てて出て行った。