「樹の…お兄さん…?」
悟は一瞬我が耳を疑った。
(どうして樹のお兄さんが癒麻ちゃんを連れ去る必要があるの…?)
悟は信じられない想いで樹の後を追った。
「癒麻っ!!」
「!?」
癒麻を呼ぶ、樹の大きな声で悟は我に返る。
樹と悟が向かう目の前には、今にも車に癒麻を押し込めようとする男の姿があった。
「手を離してください…っ、皐さん…っ!!」
「良いから乗れと言ってるだろう。」
「嫌ですっ!!」
体を押し込めようとする男に癒麻は必死で抵抗する。
「俺の言うことを…聞け…!!」
「!?」