癒麻は真剣な目で悟を見た。

「…勝手にしろよ。」
それまで黙っていた樹が一言だけ言うと立ち上がった。
「樹…!?」
癒麻は驚いて樹を見る。
「…行くぞ。癒麻。」
樹は癒麻を促し、校舎へ戻る。
「どういうつもりなの樹!?悟くんを巻き込む気なの!?」
癒麻は階段を降りながら樹に訪ねる。

「癒麻。あいつは刑事の息子だぜ?
あいつに警察の動きを調べさせる。
あいつが自分で仲間を申し出てきたんだ。
癒麻を危険な目に合わせないためなら、あいつを利用出来るなら利用するまでだ…。」
「樹…。」
樹の真剣な横顔に癒麻は何も言えなかった。
樹がWINGをやっているのは癒麻のためだと知っているからだ。
(僕のために悟くんを巻き込むことになるなんて…。)
「……。」
下を俯いた癒麻を樹は真剣な顔で天井を見た。
『何があっても癒麻を守る』その決意の瞳で…。