「癒麻、お前まだ気にしてんのか?」
その日の夜、予告時間を待って隠れていた樹は何かを考えこんでいた癒麻に気がついた
考え込んでいても顔に出さない癒麻に気付く人はあまりいないのだから…

「樹…
…やっぱり樹には解っちゃう?」
「当たり前だろ?
俺たちはいつから一緒だと思ってんだ?」
樹は呆れたように…それでいて、自信たっぷりに言った
「そうね…
僕達、物心つく前から一緒にいたもんね…」
癒麻は軽く目を閉じ、口元だけで微笑んだ

そう、イトコ同士の二人は本当の兄弟のように一緒にいたのだ

いつも一緒の二人は、阿吽の呼吸で解りあえていたのだ

「…癒麻、お前は優しすぎるんだ…」
「え…?」
下をうつむき、ボソッと呟いた樹の声を癒麻は上手く聞き取れなかった
「…なんでもねぇよっ
ほらっ時間だ!
さっさと行くぞっ」