「待たせてしまって済まなかったね。」
 「いいえ。そんなに待ってはおりません。
 少し会場を見させていただきましたので。」
 「優しい子だね。私は悟の父です。
 名前を聞いても良いかな?」
 「…っ!?」
 「え…?名前ですか…?
 桂木癒麻と申します。」
 癒麻の名前を聞かれ、悟は警戒したように父親の背中を睨んだ。
 言いにくそうに自分の名前を癒麻が伝えると、五十嵐警部は何かを思い出すように下を向いた。
 「かつらぎ…ゆま…?
 ……っ!?」
 五十嵐警部は驚いた顔で癒麻を見た。