「いい?樹。俺が合図を出したら窓ガラスを割って入ってきて。」
 『……んなもん何度も言わなくても解ってるに決まってんだろ?』
 何度も同じ確認をされて、不機嫌そうに樹は返した。
 「樹…。悟くんは心配してくれてるのよ?
 もう少し優しく言ってあげたら?」
 『男に優しくする趣味はない。』
 「樹…。」
 「まあ、確かに言えてるよね。」
 困って返す言葉に悩んでいる癒麻と、悟は可笑しそうに笑った。
 「悟くんまで…。」
 癒麻は困って笑うしかなかった。
 「悟。」
 可笑しそうに笑う悟と悟を見ていた癒麻の後ろから呼びかけられた。