怪盗舞月夜WINGただいま参上♪

樹はテーブルに手を置き、顎を乗せる。
「それなら前例を作れば良いんじゃないかな…?」

「前例を…作る…?」
悟の言葉に驚いて、樹は悟を見た。
「癒麻ちゃんに振り向いてもらえるなら、俺はどんなことでもやるよ…。
前例が無いなら、俺が前例を作る。」
きっぱりと言い切った悟の瞳を見て、樹はある人物と悟が重なっていた。
「……っ!そんなもん出来るかよ!!」
樹は思わず顔を反らした。
(なんで…。なんでここで叔父さんを思い出さなきゃいけないんだ…?
なんでコイツと叔父さんが被る!?)
樹は瞳を閉じて悟と被った癒麻の父・療治を思い出していた…。