悟は昼休みに見た癒麻の笑顔と樹の怒った顔を思い出した
机に肘をつき、頭を抱えた
(聞けない…
父さんにも、樹にも…癒麻ちゃんにも…)
悟は肘をついた姿勢で暫く考えていた…


暫くして悟は机から立ち上がった
悟は部屋を出て、階段を降りている時に、五十嵐と悟の母の声を聞いた
(父さん帰ってきたんだ…)
「あなた…頑張りすぎじゃないの?疲れてるんじゃない?」
「これは仕事だからな…」
「あなたは優しすぎるわ…
悪戯電話にも真剣に対応しすぎるもの…」
「悪戯なんて決めつけるな…
本当に困っているかもしれないだろ?」
「そんなに疲れてるじゃない…っ
顔色悪いわよ…っ」
「俺は、あの時のように、被害に合う人を助けたいだけだ…
あの夫婦のように、誰も犠牲に合わせたくない…」