「…っ!!」
哲平の一言に思わず樹の動きが止まる。
「候補…?候補ってなんのこと……?」
悟が樹の方を向くと、さっきまでと違った空気が流れていた。
「……っ!?」
その空気に嫌な気を感じて、悟は癒麻を見る。
癒麻も車に体を預けたまま固い表情をしていた。
「……~っ!?」
悟は二人から視線を反らし、下を向く。
(なんだ…?この空気…。
嫌な気がする…。)
高鳴る鼓動を感じて、悟は固く瞳を閉じる。
(聞きたく…ない…っ!!)
「今、そんな話してる時じゃないだろ…?」
樹の重い口調に哲平は思わず震える。
「すいません…。」
哲平は、それっきり口を開かなくなった…。