哲平は、目をキラキラさせて助手席から身を乗り出す。
「身を乗り出したら危ないわよ?哲平くん。」
「はーいっ!」
癒麻の制止に哲平は前を向く。
「…素直なんだね?」
悟は苦笑いをしていた。
「癒麻さんが『前向け』って言ったからね。」
哲平は楽しそうに手足をバタバタさせる。
「うるせぇ…。」
樹は両手で、頭を抱える。
「さっきから頭抱えっぱなしだね…。樹…。」
「こいつ来るとうるせーんだよ…。」
樹は頭を抱えたまま、深くため息をつく。
「あっ!!そう言えば兄貴聞いたよ。
兄貴、癒麻さんの『候補』に決まったってっ!?」