「うん…、ありがとう悟くん。」
癒麻は少し困ったように笑う。
「キツかったら、いつでも言ってね?」
心配そうに見る悟に、今度は笑顔だけを返す。
「あ…、樹…。僕のカバン…。」
癒麻は、慌てて後ろを振り返る。
「ここだ。」
癒麻の目の前に、癒麻のカバンを突き出す。
「ごめんね、樹。持たせちゃって…。」
癒麻が受け取ろうとすると、そのまま樹は歩き出した。
「樹!?」
「…代わりに持って行くって。」
隣に立つ悟の言葉に、癒麻は申し訳なさそうに悟を見る。
「え…?でも……。」
「良いから行こ、癒麻ちゃん。」
悟は癒麻の手を取って歩き出す。