運転手が後部座席を閉めると、癒麻と樹は悟のいる正門に向かって歩き出す。
「行ってらっしゃいませ。癒麻様、樹様。」
運転手は五指を揃え、右手で心臓の位置に手を当て、上半身から頭を下げる。
「今日はすごい登場したね、樹…。」
悟は驚いたまま、樹に笑いかける。
「しょうがねぇだろ?癒麻の体調悪いんだから。」
「え!?癒麻ちゃん大丈夫!?」
「やだ…。大袈裟よ…、樹…。
大丈夫よ、ただの睡眠不足なの。」
癒麻は、困ったように悟に笑いかける。
「睡眠不足でも、気をつけなきゃダメだよ。癒麻ちゃん…。」
悟は心配そうに癒麻を見る。