そして昼休みがきた

弁当を持って立ち上がった悟に小竹が聞く
「あれ?悟、お前一緒に食わねぇの?」
「ゴメン、今日は別のヤツと食べるんだ」
悟は右手を顔の前に立てて謝る
「いや、別に謝ることねぇよ
また、一緒に食おうな」
小竹は、そう言うと別のメンバーと共に教室を出ていった

悟は教室を出て、屋上への階段を上る

ガシャン
かなり古い伝統ある校舎の非常階段は鈍く重い音を立てながら開く

屋上には樹と癒麻が先に来ていた

悟は周りを見渡すと他の生徒はいなかった

「悟くん…」
癒麻は少し困った顔をしてはにかんだ顔で笑った

「ゴメンね、遅くなって…
俺、屋上来たの初めてだ
他の人いないんだね?」

「ここには他のヤツは来ないぜ
だから俺達はここをよく使う」
樹はまだ怒ったような顔をしていた
「樹、まだ怒ってるの?
悟くんも、お弁当持ってきてるから、とりあえず食べようよ
ね?悟くんも…」
癒麻は長い髪を風に靡かせながら樹と悟に笑いかけた

「うん、そうだね」
癒麻と悟は笑いながら、お弁当を開く
「あれ?このお弁当美味しそうだね
誰が作ったの?」
悟は癒麻の開いたお弁当を覗く
「うん…僕…」
癒麻は照れたように下を向いて顔を赤くする
「そうなの?癒麻ちゃん料理上手なんだね
俺も食べてみたいな」
悟は感心したように笑う
「あ…多めに作ってるから、良かったら食べて…」
「良いの?じゃあ、頂きます♪」
悟は自分の弁当を開いたまま手を合わせて癒麻の弁当に手を伸ばす
「うーんっ上手い!」
悟は満足そうに笑う
「本当?良かった」
癒麻は嬉しそうに笑う