「…着替えたら、少し座って待ってろ。」
樹はフラフラと立ち上がる癒麻を見て、それだけ言って癒麻の部屋を出て行った。
「樹?」
癒麻は、不思議そうに出て行く樹を見た。
樹が出て行って十分後、樹は戻ってきた。
「癒麻、着替えたか?」
「ええ、着替えたわ。」
スッと音を立てながら、ゆっくりと襖が開く。
樹の腕には、小さな土鍋が抱えられていた。
「ほら。」
樹は、手に持った土鍋を癒麻の傍のテーブルに置く。
「これは…?」
「雑炊を作らせた。これなら食べれるだろ?」
癒麻は樹を見る。
「…ありがとう、樹。」