「あっくん」 そう、廊下から呼ばれ振り向く人間はこの教室"1-A1"には2人存在する。 名簿番号1番の、緋戸弦汰と26番の。田島明澄だ。 同じあだ名はきっと、迷惑であろう。 しかし、「あっくん」は8割は緋戸弦汰を呼ぶものである。 理由は簡単、彼はモテ男だからだ。 「待っててな」 そう言って目の前の椅子をガタっと音を立てながら立ち上がりドアへと向かう。 あー、このまま消えればいいのに。 そう私は思う。