「ただいま帰りましたーっ!」

隆ちゃんが入ると、一気に教室が活気づいた。

でも、この声は隆ちゃんには聞こえてないんや。

皆が、すっごく笑顔で隆ちゃんの事を見てる。

みんな、「隆さんっ!」とか、「お帰りーっ!」とかめっちゃ言ってくれてるんやけど、この子には全然聞こえてないんやろなぁ。

でも、笑顔。

「みんなっ!この人は転入生の花岡裕哉君ですっ!」

[話す事が出来ないので、メモでの会話になります。よろしくお願いします。]

出来るだけ文字を大きくして、でも見えない人も居るだろうから教室内を回った。

「花岡っ!うちは隆さんのグループの幹部の美織(みおり)。よろしくなっ!」

[グループ?]

何やろ、、、グループって。

「グループ、、、ってか、ここらで有名な暴走族グループっつーのかな、、、。「桜花(おうか)っつーんだけど知らねーよな。」

桜花、、、。何か、聞いたことある。

俺が前に住んでた所でも「桜花」は有名だった。

「そこのリーダーが隆さんなんっスよ。桜が好きだから、桜花らしい。」

[そーなんや。]

美織ちゃんは、切れ長の瞳でニッコリと笑う。

「あぁ。桜花の団員は、全国で1000人にもおよぶらしい。まぁ、幹部とかは隆さんの身近な所にいるんだけどさ。」

[すっごいなー。]

確か前の学校でもクラスで一人、桜花の団員って人が居ったなー、、、。

「あと、桜花の団員は、ニックネーム?なのかな。うちの場合美織なんだけど、、、。みんな本名とは別で、名前がある。これだけ大きいグループだったら本名が知られたらマズイからね。」

そう言って苦笑した。