「帰らなくて大丈夫かい?
 もう9時35分だよ、」


「全然平気ですよ、
 気にしないでください。」


「・・そうか・・
 ならいいんだけど、」


しばらくすると

ウェイトレスがデザートを持ってきて、

彼女は嬉しそうにそれをほうばる。


「なんだかなぁ・・・
 僕は後悔してるんだよ、」


「・・なにがです?」


「シマウマちゃんだよ。
 ・・もっと大事にしてあげれば
 よかったなぁって思って。」
 

「ちゃんとお世話しなかったんですか?」


「・・・うーん、
 二日に一回しか水を取り替えなかったんだよ」


「・・そんなの、
 きっと気にしてませんよ。」


「・・そうかなぁ・・」


「はい。そうですよ、
 気にしすぎです。」


「・・そうかそうか・・・」


「好きな食べ物とか
 なかったんですか?」


「ああ、シマウマちゃんは
 リンゴが好きだったね。
 あげると喜んで食べてたよ」


「・・そりゃそうですよね、
 ハムスターからしたらリンゴなんて御馳走ですよ。
 美味しいに決まってます。」
 

「だよねぇ・・・
 シャキシャキいいながら食べてたよ」


「そのシャキシャキ感がたまらないんだと思いますよ?
 もやしとはまた違ったシャキシャキですからね」