「ここは僕が払うから、
 好きなだけ食べていいよ」


僕がそう言うと、彼女は笑って返した。


「どうしてですか?
 誘ったのは私ですよ、
 私が出しますよ。」


「いやいや・・・
 年下の女の子に
 出させるわけにはいかないよ。
 ここは僕が。」


「そうですか・・・
 それじゃ、ご馳走になります。」


僕たちは奥の方のテーブルに案内させられた。

店内は仕事終わりのサラリーマンが多く、

チラチラとカップルの姿もあった。


「・・結構混んでるね、」


「・・そうですね、
 ガヤガヤうるさいです。
 別の店にしましょうか?」


「いやいや、いいよ。ここで。
 静かすぎるのも嫌だしね、
 このくらいがちょうどいいかも」


「まぁ、それもそうですね。」


そう言って笑う彼女の顔が、

家からひょこっと顔をだすシマウマにそっくりだった。


「それじゃあ・・・
 何頼みます?」


「そうだねぇ・・。
 じゃあ僕はペペロンチーノで、」


「じゃあ私もそれで。」


「え、いいの?
 辛いやつだけど。」


「いいんです、
 今はなんでも食べたい気分なんで」


「そっかそっか、
 じゃあそれで注文するよ?」


「はい、お願いします」