トイレと爪とぎ用のシートは管理人のばぁちゃんがネコかっててそれからちょいおすそ分けしてもらった
そして一応捨て猫は動物病院で予防注射とかなんとかを受けなきゃいけないとかでそれを済ませて
首輪とかはなんか気が進まなかったから買わなかったけど、一応身体とかは洗ったほうがいいとかだ、まぁノミとかいるかもだし?

「ってぇー事で、観念しろにゃんこ」

身体を包んでいたタオルごと風呂場にネコを強制移動して今に至るわけだ、ネコはアレだ、ぬれるのがすこぶる嫌いだ
俺と同じでね、まぁ俺は風呂大好きっ子なワケなのだが
盥の上にタオルをひいてなんとか落ち着かせたのはいいがシャワーの水が来ると元気よく暴れやがってからに…

「ってコラァっ、逃げんな、にーげーんーなってーのぁぁっ!!」

盥から逃げたちびすけを無理やり捕まえてあったかいお湯と石鹸で洗う
ふわふわとした泡に気をとられて機嫌がよくなったのかおとなしくなったので、その間にごしごしと身体を洗う

シャボン玉が二つ舞い上がって一個が風で地面に落ちそうになったのをネコがじゃれてその一個が舞い上がった
壊されそこなったそのシャボン玉の代わりに壊れそうもなかったシャボン玉が一つ消えてしまった、なんか見た事ある光景、ちょっとした既視感

風呂から上がったネコの毛をドライヤーで乾かす、ふわふわとしたやわらかい感じがスンゲェ気持ちいい
お前、前より美人さんになったぞー、なんてな、そーいやぁ、お前名前どーすんだよなぁ?

黄金の瞳をこっちに向けて首をかしげるちびすけの名前を思考中
黒いからクロとか小さいからチビとかじゃつまんねぇしな
真っ黒な闇色の身体に黄金の瞳、まるでそれは夜空に輝く月のようで

「夜月って感じかな」

さっきかしげていた方と反対側に首をかしげた

「ヒハハ、お前の名前だよ」

一生懸命働いた俺は伸びをして、さて休憩タイムと参りましょうか?
今日と明日はバイトも学校もないしねぇー、いい日だ晴れてりゃもっと最高なんだけどな

「ま、晴れてたらお前にも会えなかったわけだしな」

雨降ってたからあの道通ったわけだしな

こいつを拾ったのは俺が選んだ運命の分かれ道