「ほら,一夢」
朝香の手には,焼きそばパンがあった.
「あ...御免,やっぱ朝香食べて?」
「えーせっかく買ってきたのに」
「じゃあ、俺欲しいな」
「翔にあげて、じゃあ」
翔は優しく微笑んで朝香にお礼を言った.
其の後,朝香は用事があるそうで,早退した.
「あ,出来たてだ」
もぐもぐ,リスみたいに頬を膨らませた.
...可愛い,女子超え.
「将希は~?」
「知らない,あんな奴」
「相変わらず,将希だけに冷たいのな」
「そう?」
翔とは高校に入ってから,友達になった.
私が困っていれば,いつも来てくれて...
凄く大切な存在.
「将希が思ってる事,全然分かんなくて」
「へぇ,分かんないねぇ...」
「幼稚園から一緒なのにさ,
将希が今思ってることが
検討つかなくて」
ヤバい,本音がさらっと出てしまった...
「そういうモンじゃないのかね」
焼きそばパンを食べ終わった指には
ソースがついていて,それを翔は舐めた.
「小さい頃から一緒だから,
逆に分かんない方がいいんじゃね?」
「あー...そうかもねっ」
2人で話すと,時間が短く感じた.
将希と話をすると,話題が見つからなくて
あたふただけど...
翔となら何時間でも話せるかも.
そんな風に一日が終わって行こうとしていた.
