―――というわけで……今に至るわけだが……


さすが、お金持ちの集まった豪勢な学校様だ。


周りにあるもん全部がキラキラ異様に光ってやがる。

劉淹虎陽学園(りゅうえんこようがくえん)男女共学、全寮制の名門高校。

ほとんどが、某企業等の社長息子や令嬢なでが集まる所で、寮に入ったら最後、卒業までここから抜け出せない。
外出まではいいが、外泊、無断外出外泊などはみつかれば即停学または謹慎処分。

金持ち学校の癖に自由がないわけだが、理由は『問題行動を起こさないように見守る為』だそうだ。


早くいえば、金持ち専用監視獄か?


なんとも可哀想な世の中になったもんだね。

つくづく私は思った。


まぁ、そこに私も2年間入る事にはなったがね。

「思い出しても腹が立つ」

ボソッと口に出して言ったときだった。


「瞰崎(みざき)様?どうなさったの?」


「へ?」

私は急に話し掛けられびっくり。


誰やろ……このお嬢様は。
未だクラスの生徒様方を認識しとらんからわからん。

「あの~……?」

「あ、……はい?」

考えにふけっていたらまた声をかけられる。

「どうなさいましたの?お顔が凄い事になってましてよ?」

「い、いや、なんでもあらへんよ」

焦って応える。

あんま近寄んなや…香水臭くてかなわん。

「瞰崎様って面白いお言葉でお話になるのですね」

「はい?」

言われた意味がわからん。

「そのお言葉、どちらのお言葉かしら?」

「………」

どこのお言葉……同じ日本語ですが………。


って絶対違う……何が知りたいんだこのお嬢さん。


あまりにも聞き慣れない言葉に意味がわからん。


「大阪弁っていうのよ。祐貴子(ゆきこ)」


「……」

また変なのが現れた。


「まあ、千夏(ちなつ)様。おはようございます」

先に声をかけてきたお嬢はんは丁寧にお辞儀をする。

「おはよ」

相手は軽く挨拶をかわす。