スキすき好き。



4月。桜の花が舞う頃、あたし椎名佑望は花粉症に悩まされていた。

「へーっくちゅんっ」

高校生になったばかりで、教室には顔なじみの子も少ない中で遠慮してくしゃみをする日々を過ごしていた。

あたしのクラスは家政科で、女子ばっかり。男子は1人だけ。その貴重な男子と席が隣だった。