もう日が暮れかかった山間のバス停に……



眞幸と彩火は、降り立っていた。




「こっちだよ」



眞幸は彩火を先導して、坂の道路を歩き始める。



「こんな所まで来るなんて……もう帰りのバス無いけど」



彩火は辺りを見回して言う。その姿は幾分、不安そうにも見える。




「死のうって人が帰りの心配?」




「違うわよ。あなたの……上縞くんのことを言ってるんだけど」




「へえ。俺の心配をしてくれるんだ」



眞幸は少し意地悪そうな顔をした。




「別に……もういい」



そう言って顔を背けた彩火……もしかして怒ったのかな、と眞幸は彼女の横顔を見る。




「ゴメン。嫌な言い方しちゃったね。大丈夫……歩いても一時間くらいだから」



「…………」





それから、二人は無言で歩く。




程無く辿り着いたのは……



寂れて、廃墟と化したドライブインと、その駐車場であった。