「やっぱさ、千春、なんかあったんでしょ」



と、香奈がもごもごと口を動かしながら言う。



「別に…何もないって」



それでも、香奈はパンをくわえたまま、眉間にシワを寄せて見つめてくる。



「いや、千春だけじゃなくて、大輔の様子もおかしかったもん。大輔の幼馴染みとして、そのくらいはわかる」



あぁ、そっか。


香奈と大輔は幼馴染みだった。



「…香奈の勘違いだって」



あたしがそう言うと、香奈が呆れたように言った。



「…はぁ。もう、知ってるんだからね。大輔が千春に告ったんでしょ?」