「すき」だらけ

ゴトッ。




あたしは思わずその写真立てを落としてしまった。


辻宮がその音に気づいてこっちを見る。無言であたしに近寄ってきた。



「ご、ごめんなさい。勝手に見て」



「いや、別に見られて困るもんじゃねーし」



辻宮は無表情で写真立てを拾った。さっきまであんなに笑ってたのになんなのよ。



「も、もしかして彼女?」

口に出して慌てて手で口を抑える。


あたしってば何聞いてるの。

辻宮に彼女。考えもしなかった。


この胸の痛みは一向に収まらない。




「...彼女ってか俺の好きな人」